2021年9月27日月曜日

ドイツのニュースまとめNr.28

 【事件の概要】 

犯人:49歳男性(Mario.N)。職業:モバイルソフトの作成。事件現場のガソリンスタンドから車で7分のところに居住。銃 の免許はなし。 

被害者:20歳大学生 場所:ラインラント・プファルツ州イーダー・オーバーシュタイン 

49歳の男性は土曜日の夜にマスクなしでガソリンスタンドの販売室に入り、レジのカウンターに6本入りのビール2箱を置いた。 レジ係は男性にマスク義務を指摘した。すると男性は店を出て、そのとき脅迫しながら手を上げた。 その後、彼は再びガソリンスタンドに現れた。今度は口と鼻を覆っており、さらに6パックのビールを取り、レジに行った。 「そこで彼は口と鼻の覆いを外した」と弁護士ファーマンは語る。レジ係は再び男性にマスク要件に従うようにアドバイスし た。直後、犯人はリボルバーを引き、20歳の男性の頭を撃った。男性は死亡した。銃の入手経路についての疑問が残る。 

【犯行の動機】 動機については、彼はコロナパンデミックの状況が自分にとって大きな負担であると述べた。彼はコロナ対策を拒否していた と語る。「自分は隅に追いやられ」、「他の方法を見いだせなかったので、ひとつ示してやるしかない」と思ったと供述して いる。弁護士によれば、被害者は犯人に「規則を施行したので、全体的な状況に責任を負っているように思えた」と述べてい る。

【背景】 

・事件が起こったラインラント・プファルツ州では2G+(接種者、回復者のみの施設立ち入り許可)ルールが適用されてい る。犯人はこのルールから除外されていたのか。

 ・犯人に「自分は隅に追いやられた」と感じさせた原因は何なのか。 

【証言】 

・近所に住むピアK.は犯人の真向かいに住んでいた。「警察は彼を睨んでいなかったことが気になります」と彼女は言います。 ピアK.は、犯人と何年も問題を抱えていたからです。たとえば、家の前に車が停まっているときなど、何度か彼女は侮辱的な 言葉をかけられました。「彼は非常に攻撃的で、短気でした。」しかし、彼女は彼を決して通報しませんでした。「そうしな ければ、彼は私をさらに地獄へと導いたでしょう。」「彼は些細なことで私の店に4回来て、私に怒鳴りました。5回目は頭を 撃たれたかもしれません。」 

・別の隣人は、この犯人をコロナ否定論者と表現しています。隣に住んでいる女性は水曜日に彼女が自身のワクチン接種後、 彼に絆創膏を誇らしげに見せたとき、彼は我を忘れていた、と語る。「お前は死にかけている」と彼は叫び「ワクチン接種を 受けた何十万人もの死亡者について話した。」「彼はそれを100パーセント確信していた。」 

・犯人のツイッターでの最後の投稿はハレ攻撃(ユダヤ教のシナゴーグ襲撃事件)の翌日の2019年10月10日。「私の筋肉は 緊張していて、私の心は鋭くなっています。この状況を作り出した人々に恵みを。いいえ、恵みは間違っているでしょ う。」約1か月前に次のように投稿していた。「次の戦争を楽しみにしています。」「私は妻と同じように人種差別主義者で す。 」 

・AfD議会グループリーダーのビョルン・ヘッケだけでなく、AfD連邦議長のイェルク・モイテンを含む数人のAfD政治家のア カウントをフォローしました。 

【反応】 

・憲法擁護庁長官クレイマー氏は、攻撃的で暴力的な市民による右翼の陰謀ファンタジーのエスカレートが何ヶ月も前から観察 されていると述べた。以前は暴力を使う準備ができていないと知られていた人々でさえ激情し、暴動を起こしていました。「攻 撃性の高まりは、日常生活のいたるところに感じられます。」 

・緑の党の首相候補の アンナレーナ・ベアボック は事件に動揺して反応した。「異端者のコミュニティの急進化は私に大きな 懸念を引き起こしている。」

 ・ CDUの事務総長パウル・ツィーミアックは、「その大学生はマスクの必要性を指摘しただけで、ほとんど処刑されたに等し い」と「信じられないほどの過激化」について語った。 

・WELT紙は「ドイツの国内の政治家の何人かは、AfDが「思考の歪んだ人たちQuerdenker」の急進化に共に責任を負ってい ると非難したことを報道している。

 ・SPD議会グループの政策スポークマンであるウーテ・フォクトはAfDに非難をしました。「ドイツ連邦議会に参加して以来、 AfDは、路上やソーシャルメディアでの憎悪と動揺の大幅な増加に大きく貢献してきました」と。AfDは「その可能性を素早 く認識しながらも、Querdenkerを自ら利用した」と。 

・Unionはもう少し慎重な意見を表明した。「AfDだけで今回のおぞましい事件の理由を探すのは単純すぎる」とスポークス マン、マティアス・ミデルベルクは語った。「しかしもちろん、AfDは、ターゲットを絞った挑発によって、私たちの社会 の二極化を促進しています。」これにより、抑制へのハードルが低くなります。 

・ここで、何が加害者をその行為に駆り立てたのかを詳細に調査する必要があります。「Querdenkerとのつながりがある場 合、この動きの監視を強化する必要があるだろう」とミデルベルク氏は述べています。「いわゆるQuerdenkerの思考の核心 は、もはやコロナ対策ではなく、民主的な憲法国家との戦いに関係しています。これは明らかに一線を越えています。」ミ デルベルクは、コロナ対策に抗議し続けたい人は誰でも、水平思考の場面から明らかに距離を置くべきであると要求しまし た。 

・ラインラント・プファルツ州のマル・ドライヤー州首相(SPD)は「殺人を正当化し、歓迎する人は、新たな暴力の理由を準 備する」と述べた。暴力は常に言葉から始まります。現在、ワクチン接種反対派と帝国主義市民と右翼過激派の「混合」があ ります。憲法保護が暴力的なコロナ抗議事件に目を向けているのは正しい、とドレイヤーは言った。彼女は、武器の違法な所 持の規制を強化するための州政府による努力を発表した。

 →ヨーロッパでは命をかけて自由を獲得してきた歴史がある。若い男の子にマスクの着用を言われてムカつくのはわかる。 (武田邦彦氏)

 →ドイツのメディアは今見たように、容疑者をコロナ否定論者であり、その問題行動に着目している。もちろん、殺人を犯す ほどの人間であるから、これまでに問題行動があったことは容易に想像がつく。しかし、駐車位置で大声を張り上げたとか、 陰謀論に関心があった、「ハレのユダヤ教シナゴーグ襲撃」を賛美したツイートをしたとかのレベルであり、実際に危害を加 えたことはなかった。 

→現時点では、動機についてはドイツで報道されている以上の情報は持っていないが、この事件は起こるべくして起こった最 悪の事件だと思える。

 →ラインラント・プファルツ州は2Gルールを取り入れており、非接種者への差別が行われている。今回の犯人が非接種者か否 かの情報はまだ確定していない。 

→今後、ドイツでは2Gルールにより、行動が制限された人の憎しみが増幅することが想像できる。すでに、マスクの着用義 務により数々のいざこざは起きているが、2Gルールの規制により不利益を被る人、あるいは2Gルールにより職を失った人 は自暴自棄になり、暴力に走る可能性が一気に高まった。 

→ドイツは新型コロナの感染者数、死亡者数において日本との比較において大きな開きがあり、ドイツの方が約10倍程度 の深刻度である。したがって、規制がより厳しいことはやむ得ないだろう。しかし、そこに差別的なものが含まれていると どうなるだろうか。結果は自ずと明らかである。 

→にもかかわらず、ドイツのメディア、政治家はQuerdenkerの過激性に起因する事件だとのコメントが多い。しかし、マスク 着用の科学的根拠、ワクチンの危険性、その死亡者数の多さ、ワクチンの効果の無さなど、本来国民が共有しておくべき重 要な点はドイツにおいても十分に報道されていない。それどころか、それを指摘する人をQuerdenkerと一蹴する。 →そもそも、新型コロナのワクチンは感染予防効果は低く、2回接種者でも感染することが明らかである。にもかかわらず、 2Gルールを改めようとはしない。英国では、ワクチンパスポートは廃止された。スウェーデンはそもそもこんな無意味な規 制はしていない。 

→犯人は「隅に追いやられた」と感じていたとの供述がある。隅に追いやられた人間はいずれ爆発する。 

→今回の事件が犯人の気質による部分は多分にあろう。しかし、このような人間でも社会はできる限り包摂することで犯罪 は防げるのではないか。凶悪犯罪は突発的な場合が多いが、そこに至るには不満、疎外感の積み重ねがあることだろう。犯 罪は個人の資質だけで発生するのではなく、社会の在り方も深くかかわっている。人を排除する社会を作っているようでは、 同じ犯罪が多発するであろう。

 →日本においては、ドイツの感染状況に比較すると桁違いに軽度である。さらに、ドイツ人は意識の上で個人の自立心が強 く、社会的存在という側面が日本人より強い。言い換えれば、日本人はドイツ人に比べ、社会的依存度がはるかに高い。そ のような社会において、これまで友人であった者から疎外され差別的扱いを受けたなら、今回と同様の事件が起きることに なることは確実であろう。

 →今回、亡くなった20歳の大学生には心からご冥福をお祈りしますが、今後このような事件が二度と起きないためにも、 各人が社会の在り方を冷静に見つめなおし、科学的に正確な知識に基づいた対策をしつつ、排除ありきの政策から方向転換 しなければならないだろう。 →メディア、政治家の発言を聞いていると、自分を正当化しようとする発言ばかりである。この事件により、コロナ対策を より差別的なものにするならば、憎悪は再び帰ってくる。欧州人はこのことをそろそろ心得る時期に来ている。



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